はる歯科の入れ歯ブログ

治療はずっと続くし、食事も痛くてできない。いっそ全部抜いて総入れ歯にしたほうがいいですか?

この記事の結論

「全部抜いて総入れ歯にすれば楽になる」とは限りません。当院の考え方は「残せるなら、1本でも、1年でも」。

  • 自分の歯の支えが1本でもあると、入れ歯にかかる負担がまるで違います。
  • 「いずれ抜けるかもしれない歯」まで織り込んで、修理しながら長く使える入れ歯を設計できます。
  • 残せない歯でも「根っこ」だけを残し、入れ歯を支える骨(顎堤)を守る方法があります。

ご質問・ご相談

10代のころから虫歯が多く、30代で部分入れ歯になり、その後も少しずつ歯が抜けて、入れ歯の本数が増えてきました。いまは自分の歯もまばらで、治療はずっと続くし、痛いし、入れ歯でも痛くてご飯が食べられません。いっそ全部抜いて総入れ歯にしたら、治療や痛みから解放されるのでは、とまで思っています。少しでも自分の歯があるなら、総入れ歯はやめたほうがいいのでしょうか?(40代・男性)

「痛かったけど、治った」を繰り返していませんでしたか

若いころから少しずつ歯を失っていく背景には、多くの場合、歯周病が静かに進んでいます。歯周病は慢性の病気で、痛みが出ても、しばらくすると引いてしまう。「痛かったけど、治った」を繰り返しているうちに、気づいたときには歯がグラグラ、ということが本当に多いんです。

もちろん「なんでこんなになるまで」なんて言うつもりは、まったくありません。でもこれからは定期的にメインテナンスにきてくださいね。

「1本でも、1年でも」

「全部抜いて総入れ歯に」というご相談には、残せる歯なら、1本でも残したいです。私はそう思って診ています。自分の歯の支えが1本でもあると、入れ歯にかかる負担がまるで違うからです。

ただし、「何がなんでも全部残す」でもありません。歯周病がかなり進んでグラグラになった歯は、残すことがかえって負担になる場合もあります。残せる歯と残せない歯の見極めは、レントゲンとお口を拝見して判断することになります。

「いずれ抜けるかもしれない歯」まで織り込んで、設計します

「治療がずっと続くのがつらい」ということですが、その不安に入れ歯の設計で応える方法があります。

実は入れ歯は、「この歯は将来残すことが難しくなるかもしれない」というところまで想定して作ることができるんです。もしその歯がダメになっても、入れ歯に歯を足して修理しながら使い続けられるように、先回りして設計しておく。特に前歯は、あとから歯を足す修理がしやすい場所です。だから私は、「もしダメになっても、この入れ歯を使えるように作っておきますからね」とお伝えしています。

行き当たりばったりの治療が延々と続くのではなく、見通しがあるだけでも、気持ちはずいぶん違うはずです。

「根っこ」だけは残せる場合も

グラグラで残せない歯でも、「根っこ」だけは残せる場合もあります。

神経の処置をして頭の部分だけカットし、根っこを入れ歯の下に残す方法です。なぜそんなことをするかというと、根っこの周りには骨があるから。骨は大切なんですよ。歯を抜くと、入れ歯を支える土手(専門用語で顎堤(がくてい)といいます)が少しずつ痩せていきます。土手が痩せてツルンとしたあごには、入れ歯は安定しにくいんです。私はよく「顎堤命」と言っています。特に下あごは。

つまり「全部抜いてスッキリすれば、入れ歯が安定して楽になる」とは限らないんです。総入れ歯にも、お口に合わせていく調整の過程はあります。

入れ歯って考え方によってはいろんな治療法があるから、普通の治療より選択肢が広いなって思います。もちろん、どの方法が合うかはお口の状態次第です。一緒に見極めましょう。

本当の理想は、何も削っていない自分の歯を、一生守ってもらうこと

当院の本当の理想は、「何も削っていない自分の歯を、一生守ってもらうこと」です。いつも思うのですが、みんなちゃんと定期的に歯医者に行っていればよかった。

私は、虫歯じゃない人の歯を守りたい。だからあなたの残っている歯も、これ以上失わないように全力で守りますし、これから入れる入れ歯も、長く使えるように一緒に守っていきます。

予防は患者さんの意思が大事なので難しい面もありますが、一生自分の歯で食べれて、そのままでいてほしいっていうのが、はる歯科の目標です。