こんなご相談がありました。
奥歯の入れ歯を初めて作りました。何度調整しても、どうしても痛くて困っています。また、上の前歯もこれから入れ歯を作る予定です。1本でもこれだけつらいのに、これから入れ歯が増えることが、とても不安です。
このお悩みに、院長がお答えします。
「ここだけでこんなに痛いのに、これから入れ歯が増えるなんて」― この不安、痛いほどわかります。そして先に申し上げます。その痛み、「そういうものだ」とあきらめないでください。
入れ歯って「入れたら終わり」ではないんです
意外と知られていないのですが、入れ歯は、入れたその日がゴールではありません。少しずつ調整しながら、お口に合わせていくものなんです。
「一度入れたんだから、この痛みは我慢するしかない」と思い込んで、通うのをやめてしまった方に、私はたくさんお会いしてきました。もったいない。本当にもったいないんです。調整で使い心地が変わっていくことは、決して珍しくありません。
ご自身の歯型を見た瞬間、「あっ」とおっしゃいます
何度調整しても痛みが取れない場合、その背景に、かみ合わせのバランスが関わっていることが少なくありません。
でも「かみ合わせが合っていません」と言葉で言われても、ピンと来ませんよね。だから私は、お口の中の写真を撮って、歯型を取って、上下を合わせて、実際に見ていただくんです。「ほら、ここ。こうやってぶつかっているんです」って。
これをやると、皆さん「あっ」という顔をされます。ご自分のお口の中って、鏡でもよく見えないし、動きなんてなおさらわからない。立体で見て、初めて腑に落ちるんです。「だから痛かったのか」と。
痛みの正体がわかると、不安の正体もわかります。正体がわかれば、あとはどう手を打つか。一緒に作戦を立てましょう。
「これは、たしかに痛いはずだよね」― 見ればわかることが増えました
私も義歯の勉強を続け、治療の経験を積んでくる中で、患者さんの入れ歯とお口の中を拝見すると、「これはたしかに痛いはずだよね」「これは浮いちゃうよね」と、おおよその不具合の原因や対処のしかたが分かることが多くなりました。中には、初回の治療で入れ歯を少し調整するだけで、お悩みが解消するケースもあります。
ちなみに、一番大きな不満が解消すると、多くの方がこうおっしゃるんです。「じゃあ、ここも」「今度はこっちも治したい」って。
それは、とても自然なことです。あきらめかけていたお口が、理想の形に一歩ずつ近づいている瞬間なんですから。私は、その瞬間に立ち会うのが大好きです。
これからの入れ歯のことも、先回りして考えます
上の前歯のこと、これから増える入れ歯のこと。「今の痛み」だけを場当たりで消すのではなく、お口全体のかみ合わせを見ながら、この先の設計図を一緒に描いていきます。
不安は、ひとりで抱えると膨らみます。診察室で吐き出してください。全部、伺います。
