こんなご相談をいただきました。
10年以上前に作った入れ歯が合わなくなり、数年前から調整したり足したりしながら使ってきましたが、かえってひどくなってきました。作り直せば、いい入れ歯が作れますか。
このお悩みに、院長がお答えします。
こういうご相談、実は一番多いんです。
以前いらっしゃった患者さんも、入れ歯だけでなく、残っている歯もグラングランという状態でした。だから入れ歯の取り外しも、本当に、そろーり、そろーり。歯が揺れてしまうから。この状態を、10年間続けてこられたそうです。
ご本人に伺いました。「10年も我慢してたのに、今回はどうして来てくれたんですか?」。すると、こう話してくださいました。
「もうさすがに、このそろーりそろーりも、入れ歯がパカパカ、プカプカになっちゃってるのも、もう無理だなと思ったんです」
こうなったのはもちろん理由があります。
入れ歯が悪くなったのではなく、お口が変わったんです
10年以上前にぴったりだった入れ歯が合わなくなるのは、入れ歯が劣化したというより、お口の中が変わったからです。歯ぐきの形も、かみ合わせも、長い年月で少しずつ変わっていきます。誰にでも起こることです。
でも、それってご自分ではわからないですよね。「入れ歯がダメになった」としか思えない。だから安定剤を足して、だましだまし使う。お気持ちは、痛いほどわかります。
いきなり大ごとにはしません。まず、今をラクに
「今さら行ったら、大変な治療になるんじゃないか」― その心配が、足を遠ざけているのではないでしょうか。
ご安心ください。まずやるのは、今お使いの入れ歯の調整です。少しでも安定させて、今日より明日がラクになるところから。そのうえで、お口の状態を確かめながら、この先どう整えていくかの道すじを、一段ずつ一緒に描いていきます。
「いい入れ歯」って、何だと思いますか?
「作り直せば、いい入れ歯が作れますか?」と聞かれたら、私は逆にこう伺います。「あなたにとって、いい入れ歯ってどんな入れ歯ですか?」
落ちない入れ歯、と答える方。見た目がきれいな入れ歯、と答える方。何でも噛める入れ歯、と答える方。全然違うんです、人によって。だからまず、あなたの「いい入れ歯」を教えてください。患者さんにとっての「いい入れ歯」を一緒につくっていきます。
楽しく美味しい食事を取り戻しませんか?
「食事はできています」とおっしゃる方に「何を召し上がっていますか?」と伺うと、やわらかいものばかりだったりします。「おせんべいは?」「無理です」「お肉は?」「細かく切れば」。
……細かく切って、あまり噛まずにゴックン。それ、味がしないじゃないですか。
噛めば噛むほど、味が出てくる、あの感覚。 「食べられるもの」だけで暮らしていると、その先にあるもっと美味しい世界のことを、忘れてしまうんです。私は、その感覚を思い出すお手伝いがしたいと考えています。
